
世間を騒がせている山口県阿武町で発生した4630万円の給付金の誤送金問題が、日々TVなどニュースで報道されています。
日本海に面した、わずか人口「3089人」の町で発生した大きな事件となりました。
4630万円もの大金を、わずか10日程度で使い込み世間は大騒ぎに。
結果的に田口容疑者は「電子計算機使用詐欺」で逮捕に至りました。
田口容疑者も最初は「金は返せない」という話から始まりましたが、逮捕されるまでに、状況が二転三転する驚きの連続となったこの事件。
今後様々な取り調べや捜査が進んでいくと思われますが、現時点までの経緯と流れをあらためて振り返っていきたいと思います。
目次
4630万円事件の流れ
【4月1日】
阿武町は、「臨時特別給付金」対象の463世帯分の振込先を記録したフロッピーディスクを銀行に提出し手続き。
【4月6日】
新人の町職員が名簿の一番上にあった容疑者の名前と、4630万円の金額が記載された振込依頼書を誤って銀行に提出した。
【4月8日】
銀行は、田口容疑者の口座に4630万円を振り込んだ。
振り込み後の同日、銀行からの確認により町側が誤りを把握する。
すぐさま町側は容疑者宅を訪問して謝罪と返還を求めたところ、田口容疑者は返還手続きに同意。
町職員とともに公用車で取引銀行の支店に移動し到着すると、玄関前で一転。
「やはり今日は手続きしない。後日、公文書を郵送してくれ」と拒否されることに。
この同日中に田口容疑者は、デビット決済をおこない「67万8967円」を出金した。
【4月10日】
田口容疑者は町に対し「弁護士と相談する」との電話連絡をおこなう。
また連日に渡って出金を繰り返し始める。
デビット決済以外の主な振込先は3社で、決済代行会社とみられている。
【4月14日】
町が容疑者の母親にも説得を依頼する。
田口容疑者の勤務先で母親とともに面会するも田口容疑者は町側の非をあげ、弁護士と話すと主張した。
【4月15日】
阿武町が公金の誤振込に関する会見を開催する。
町長がお詫びと、今回の件の経過を説明した。
【4月18日】
この日までに合計34回、「4633万1922円」を出金した。
【4月21日】
田口容疑者からの連絡が途絶えたため、町側は田口容疑者の自宅を何度も訪問する。
会えた時には、田口容疑者が返還を拒否する。
「お金はすでに動かした。もう元には戻せない。罪は償う」
と話し、使用用途についても説明を拒否した。
またこのころには勤めていた仕事を辞め、自宅も不在状態となる。
【4月22日】
町は誤振込金の返還拒否に関する会見を開催した。
町長はお詫びと経過説明をおこなう。
【5月12日】
町は田口容疑者を相手取って、誤振込金の全額及び弁護士費用を含め「約5116万円」
の支払いを求めて山口地裁萩支部に提訴をおこなう。
【5月16日】
田口容疑者の代理人弁護士が会見で、
「返還が難しい状態で、何か財産的価値のあるものが手元に残っている状態ではないと聞いている」
「スマホの操作で送金したと聞いている」などと説明をおこなった。
【5月17日】
田口容疑者が「金は海外の複数のインターネットカジノで全部使った」と説明していることが判明する。
代理人には「お金を使ってしまったことは大変申し訳なく思っている。少しずつでも返していきたい」と話した。
【5月18日】
田口容疑者の口座の金の動きが判明する。
警察が山口市内で容疑者に任意同行を求め、同日午後8時43分に逮捕した。
【5月20日】
逮捕された田口容疑者の自宅に、警察の家宅捜索が入る。
世間に問題が周知されてから現在まで、このような流れがありました。
誤送金もさることながら、それ以降も町側の甘いと言わざるを得ない対応もあり、田口容疑者と町に対して、世間では様々な声があがっています。
- 間違って振り込んだお金を使うのはおかしい
- 同意が得られなかった時点で誤振込先の口座を仮差し押さえすべき
- 町の初動対応が甘かった
- 対応が遅すぎた
- 使ったのも悪いけど、その前の段階にも問題がある
- 町にも責任がある
田口容疑者の人物像とは?
田口容疑者は、どういう人物像だったのでしょうか。
友人の証言とあわせて見ていきます。
例えばあと1万円しかないとするじゃないですか、それでもパチンコ行って「ああ金なくなった」みたいな。
吹っ切れたらもうどうでもいいやみたいな、そういうのがある。
お金への執着が凄い。
と、このような証言があがっています。
また、小学校の卒業アルバムに「地球最後の日が来たら?」という問いに対し、
「所持金を使い果たす」
など、お金への執念と言うかこだわりと言うか、執着心の凄さが見て取れます。
またパチンコや競輪でお金をすってしまったり、友達からお金を借りていた話などもあがっているようです。
完全に典型的な、ギャンブルで脳がマヒしている感覚のように思えます。
次に、勤務先の同僚からの証言も見て見ましょう。
勤務中に会話はありましたが、仕事の話ばかりで仕事以外のことはわかりません。
このように、仕事においてはごく普通で、特に問題があったわけでは無さそうです。
次に、田口容疑者に住宅を貸していた大家さんの話です。
家賃も滞納したことはなく月末までに振り込まれていた。
最後に会ったのは先月20日ごろで、あいさつをしたが特に変わった様子はなかった。
なぜこのようなことをしたのかと思う。
このように昔から知る友人以外からは、特に悪い印象は持たれていないようですね。
こんな感じでお金の使い方があらかったり、ギャンブルにマヒしている人だけど、イメージは悪くない人というのは世の中には沢山いるのではないかと思います。
誤送金が起こってしまった理由
そもそも何故、今回のような事件に発展してしまったのでしょうか。
もちろん、田口容疑者にも自分のお金ではないという自覚がありながら返還しなかったため非はありますが、町側のミスがなければ、起こり得なかった事件とも言えます。
事件発生のきっかけを見ていきましょう。
4月1日時点において町は、給付金の対象となった463世帯分の口座情報をフロッピーディスクに入れて銀行に渡していました。
本来であれば、これで振り込みの手続きは完了していたのです。
ところが6日になって、本来必要のない振り込み依頼書を誤って銀行に提出してしまいました。
この振込依頼書は本来、役場事務作業を進めるための資料として扱っていたようです。
そして名簿の順番は、銀行コードの順番となっており、田口容疑者の銀行コードが一番小さかったために、いちばん上に記載されていたようです。
町役場幹部の話では、
ということだったようです。
そうして、田口容疑者の銀行口座に、
「10万円+4630万円」
ものお金が誤送金されることになりました。
うーん…
「誤操作して作成して、何故か銀行に提出してしまった。」
と言う部分が、気になりますね。
むしろ、逆質問で「何故かは何故起こった?」と突っ込みたくなります。
今回の事件では、この4月に採用になったばかりの新人職員さんのミスということなども発覚しており、この新人さんもネット上で、かなりの炎上をしてしまいました。
確かにミスをしたとはいえ、いきなりの洗礼すぎて可哀想な気もしますね。
誤送金事件の結末は
阿武町から誤送金された「4630万円」の給付金のうち、「4299万円余り」を確保できたと明らかにしました。
なぜそのようなことになったのか、驚きを隠せません。
じつは町側が、田口容疑者が滞納した税金の徴収手続きに着目したのです。
約4300万円のお金は田口容疑者の財産でした。
容疑者側は、町が起こした返還訴訟で請求を認める「認諾」の書面を山口地裁萩支部に提出することになりました。
※認諾:民事訴訟で被告側が原告の請求を正当と認め、裁判を終わらせること
町側は山口地裁に対し、田口容疑者の債権差し押さえ命令を申し立てます。
命令が出たことで手続きが進み、田口容疑者の口座から資金が移っていた3社の銀行口座の差し押さえと取り立て処分を実施しました。
その結果3社は5月20日に、町の口座へ「約4300万円」を振り込んできたのです。
しかし、3社の口座には合計「約600万円」しか残っていなかったにもかかわらず、約4300万円ということで、ほぼ誤送金と同等額が町の口座に振り込まれました。
また町側は、町長をはじめ役場の職員合わせて7人の処分の方針を決定しました。
- 花田町長 月給の50%カット(3か月)
- 副町長が月給の40%カット(3か月)
- 出納室長が月給の10%カット(3か月)
- 課長級以下の4人を訓告・厳重注意の処分
これらの処分は可決されしだい速やかに行い、職員の処分も同じ時期に実施するとしています。
とコメントがありました。
まとめ
ここまで、今回の阿武町誤送金の事件について解説してきました。
みなさんは、この事件に関してどのような意見をお持ちでしょうか。
容疑者に対しての意見や感情。
また、ミスをした町側に対しての意見など、人それぞれで多くの意見があると思います。
私自身最初にニュースなどで出ていた「出納記録」を最初に見た時には、頭の中でいろいろと、資金の流れを想像していました。
本当にオンラインカジノでこんな勢いで負けたのなら、ある意味すごい才能だなと(笑)
けれど、実際の結末としては私の予想していない意外なものとなりました。
今回の事件は容疑者にとっても町にとっても、社会全体で見ても良いことなど何もない事件だったと考えています。
社会全体で、オンラインカジノに対するイメージの低下もあったのではないかと思いますし、決済会社というものが怪しい会社に見えたかもしれません。
いったい、法律って何なんだ!?
という気持ちにもなりました。
かなりのこじ付けをのようにも見えましたし、容疑者を逃がさないよう無理やり逮捕に踏み切ったようにも思います。
オフラインカジノ・オンラインカジノは確かに国内においては違法とされていますが、実際にはグレーゾーンです。
もしオンラインカジノをプレイしている人を取り締まるのだとしたら、その他のものはいいのか?とも思います。
町には雀荘があり、実際に賭けマージャンが行なわれています。
ですが低レートの場合、暗黙の了解になっています。
だけど、これも違法なのです。
パチンコ・パチスロにしてもそうです。
三店方式という誤魔化しの手法でもって、暗黙の了解となっているのです。
公営ギャンブルの競馬や競輪・競艇はどうでしょう?
合法ではありますが、これはよくてオンラインカジノがダメなのは、それこそ無茶な言い分だと思います。
日本においては「IR法」も通っています。(通称カジノ法案)
※2018年4月「IR実施法案」が閣議決定。同年7月20日に成立している。
これはカジノのほかホテルや劇場、展示会場などの施設やショッピングモールなどが集まった複合的な施設です。
複合型施設であると誤魔化した言い方になっていますが、実質的に海外にあるような「リアルカジノ」なのです。
株や暗号通貨、FXなど一般的に投資と言われているモノだって、捉えようによってはギャンブルです。
勝つ人(儲かる人)がいるという事は、その裏では負けてお金を失っている人がいるということに違いはありません。
決して、一般的にギャンブルと言われているものが、必ずしも負けて破産するわけではないのです。
やりようによってはギャンブルも十分、投資になるのです。
社会全体のイメージが、今回の事件で「負のイメージ」として定着しない事を祈るばかりです。